「あ! それって、姫さまの・・・?」

「ほんとだ! どうしてユウリが姫さまの布持ってるの?」

「ぁ? 姫・・・さま・・・って、」



「自己紹介をしていなかったわね。

私は、リディア・ド・ナバール。 

ラドニア国王、アルフレッド3世の娘よ。」

よく通る透き通った声が後方から響いた。


ユウリは肩に担いだ布を取り落としそうになりながら後ろを振り返る。


「まったく・・・、ロトスの人間はラドニアの姫の顔も知らないのか・・・」

リディアの後ろからは沢山の本を抱えたケインが近付いて来る。


「参ったな・・・。」

ユウリはガックリとうな垂れた。


「あれ? 姫さまがユウリと・・・」

「何でユウリと?!」

「ねぇ、ユウリ、姫さまと知り合いなの?」

子供達が騒ぐ。


「いや・・・全然知らねェ。」

わずかに口元を引きつらせて、ユウリは施設の入り口へと足を速める。



リディアはくすくす笑いながら、その後を追った。