「当たり前です。 まさか、タダで乗ろうなんて思っていなかったでしょうね?」

リディアは悪戯っぽく口角を上げる。


「やれやれ。 人使いの荒いお嬢さんだ・・・」

若者は片手にザック、片手に巻いた布の束を抱えて施設へと向かった。


リディアはそれを見送りながら、ケインに言った。

「どういう事なのか、後で説明してもらえるかしら。」



若者が施設の入り口に近づくと、中央の噴水の広場から何人もの子供たちが若者目掛けて駆け寄ってきた。


「ユウリだ!! やった! ユウリだ!!」

「ねぇ、ユウリ、今日は何を持ってきてくれたの?」

子供たちはキラキラと目を輝かせ、ユウリに纏わり着く。


「お、おい、ちょっと待てッ。

今日はこれを降ろすのが先だ!」


ユウリは顎で片側の荷物を指す。