「俺は…密輸業者だ。

ロトス島からの荷を運んでいる。」


「ロトス島から? 何の為に?」

リディアは振り向いて若者を見る


「ロトスの食材はこっちの金持ちにウケがいいんだ。
金になる。
ついでに、こっちの珍しいモノを向こうへ運ぶ。」


「珍しいモノ? 貴様、スパイか!」

ケインが思わず振り返る。


「はは。スパイか・・・。笑わせるね。

考えてもみなよ。 

ラドニアはもともと俺たちナユタのものだった。

それをまんまと乗っ取ってラドニアを自分たちのモノにしちまったのは、あんたたちの方だ。

それでもつい5~6年前までは、申し訳程度にラドニアとロトスとの貿易は細々と続けられていたさ。

ところが、それさえもどっかのお偉いさんの一言で、プッツリと打ち切りになっちまった。」


「どういう事・・・」

リディアは初めて聞くロトスの若者の話に驚きを隠せない。


「どういう事って、そりゃ、こっちが聞きたいよ!

おかげで、こちとら密輸業者ってワケさ。」


若者は窓の外へ目をやった。


「でも、St.マーガレット養護施設へ行くってのは嘘じゃねェ。」