(もう、どれくらい歩いただろう・・・。)

カラスは鬱蒼と生い茂る木々の間から、薄青に透き通る空を見上げる。

(俺・・・、ほんとにリディアさんと一緒に来て良かったのかなぁ・・・。
やっぱ、足手まといだったりして。)

カラスは溜息をついて、また視線を前に向ける。

前方には光りの柱が、未だ光りを失わず煌々と聳え立っている。

(あの光りの柱・・・、リディアさんがこの森にいるからあそこに立っているんだよな。

ずっと昔ばあちゃんから聞いた事がある。

ジプサムに近付く者あらば、カルマの森に光りの柱が立つって・・・。

俺は、この森に入ってくるべきじゃなかったのかな。)


徐々に重くなる体は、歩む歩幅を余計に狭くする。

その行く手には、恐らくユウリがやったのであろう、束になって掻き分けられた木々の跡が残っていた。


(俺は、ジープで連絡でも待ってた方がいいんじゃないか?

引き返そうかな。)



カラスがそう思って僅かに体を後ろへ向けた、その時・・・

バラバラというプロペラ音がカラスの耳に入って来た。