『帰ってきたのだな』

リディアの脳裏に記憶されている、声。

それは、頭の中に直接刻み付けるように響く。


「はい」

そう答えるリディアの青白く光る瞳は、もはや己の感情を表してはいない。


『お前に、私を受け入れる覚悟はあるか』

その声は、ゆっくりと、確かめるように問う。


「私は・・・試されるのですか」

リディアの澄んだ声が響く。


『いや 試すのではない。

お前にその技量がなければ、お前の体は私の力を受け止められず、瞬時に消滅するだけだ』

声は、容赦無く告げる。


「私に技量が無ければ、それまでの事。

私に、恐れはありません。」

リディアは、凛とした声で言い放った。


『いいだろう。

では、私の力を

お前の中にあるモノの中へ・・・!!』



――瞬間、蒼い湖の表面がグワッと沸き立つように持ち上がる。

その中心から飛び出た巨大な緋色の光の塊は、リディアの体の周りを確かめるようにぐるぐると旋回し

リディアの白い体の中心へ一気に突き入った。


「ぁうっ!!」

リディアの体はその衝撃に硬直する。