Ⅹ(クロス)







ユウリがひときわ鬱蒼と生い茂る木々を掻き分けると、突然目の前の視界が開ける。

ぽっかりと開いた空間の中央には、巨大な光りの柱が聳え立つ。

その光りは地上から天空へと音も無く吹き上がり、空をそこだけ真昼のように明るく照らし出していた。


「ぅ! やべェ。目が・・・開けられねェ・・・

大丈夫か・・・リディア・・・」

ユウリは思わず手で瞼を押さえながら、後ろを振り返る。


(!!)


リディアの瞳は、また青白い光りを放ちながら真っ直ぐに光りの柱を見つめていた。

その体は、薄っすらと白い光りのベールに包まれている。

そして、リディアはゆっくりとユウリの方に視線を移すと、穏やかに微笑んだ。


「ありがとう ユウリ。

私・・・行ってきます。」


リディアは、視線を光りの柱に戻すと、ゆっくりとその足を踏み出した。