Ⅹ(クロス)

「ここはよ、俺達ナユタにとって、神聖な場所なのさ。

このカルマの森自体、普通の奴らは近付こうとしねェ。」


「そうなの?!」


「ああ。こんな所に住めるのは、シュラムの村の奴らくらいよ。

でないと、ジプサムの力が強すぎて、とてもまともな生活なんか出来やしねェ。」


「ぁ、ねぇユウリは・・・大丈夫なの?」


「大丈夫じゃねェって言ったら、お前は引き返すのかよ・・・?」


「ぁ・・・。 ごめんなさい・・・。」


「ま、今、俺はお姫様のナイトって事になってるみたいだからよ、あそこまでは連れてってやるけどよ・・・。

そう言うお前はどうなんだ?」


「私? 私は・・・大丈夫みたい。」



ユウリは湧き出る額の汗を拭いながら先を急ぐ。

その足は、踏み出す度に重くなっていくように思える。



(リディアは、やはりシュラムの人間だから・・・受け入れられているのか・・・、

それとも・・・本当にジプサムの申し子なのか・・・)