「・・・・

ぁ、あれ?いない!!ユウリがいない!!」


もぬけの殻のシュラフを見て、カラスは大声を上げる。

眠い目をゴシゴシと擦り頭を急回転させるが、今ひとつ状況が把握出来ない。


(あいつ、どこへ・・・

ま、まさかあそこへ・・・

いや・・・そんな・・・

でも!!!)



カラスは大急ぎでテントから飛び出すと、リディアのいるジープへ走る。

そして、ジープの手前1Mの所で立ち止る。


(いや・・・まて。

俺はこの車の中を覗いていいのか?!

仮にもし、そうだとしたら・・・

い、いやいや、そうでなかったとしても・・・リディアさんのお休みの所を覗いていいのか・・・?

あれ、今そういう場合なのか?

ぇ?!

あぁぁぁ、もう、何考えてんだよ、俺!!)


カラスは、思い切ってジープに駆け寄る。


「ごめんなさい!!リディアさん。」

言いながら、窓に張り付けたその目をゆっくりと開ける。


「い・・・いないし。」


カラスはふらふらとジープの脇にへたり込む。



(全く何やってんだよ。 俺・・・。)