ザワザワ・・・


ザワザワ・・・


ザワザワ・・・



テントの外には大地を揺さぶる風の音と、沢山の虫の音が響く。

ユウリは大きく息を吐きながら寝返りを打つ。

頭の中には、ジャコスの声が何度も繰り返し響いている。


(ついに来やがった・・・。ついに・・・)


回線が悪いのか、父親アグリからの通信は途絶えている。

一抹の不安がその脳裏を掠める。


(ん?)


テントの外で何かの物音を感じ、ユウリはテントの内側の小さな布をそっと持ち上げてみた。


(ぁ、あいつ、何やって・・・)


近くに停めたジープの先に、リディアがゆらゆらと歩いている。

その足元の土はリディアの体に反応したように、リディアが足を踏み出す度にふわっふわっと蒼白い光りの粒を放ち、その行く手を照らす。