「ふ、ふざけんな!ユウリ!

そんな事許される訳ねェだろーが!!」

カラスは思わず振り返る。


「じょ、冗談だ!冗談だって!!
ほらカラス、前見ろ、前!!」



――カチッ


その時、フロントパネルのランプが光る。

カラスは手元のレシーバーを取る。


『カラスか、ユウリに替われ。』


「ユウリ、ジャコスからだ。」


ユウリはそれを耳に当てる。


『ユウリ、奴らの軍用船がカルディナ海峡に現れた。

我々も接続水域ぎりぎりの所で相手の出方を見るつもりだ。』


「いよいよか・・・。」

『奴らは何としてでもこっちへは来させねェつもりだが、万が一って事もある。

そっちも充分に気をつけろ。』



「分かった。」



「ユウリ?」

リディアが不安そうにユウリの顔を覗きこむ。


「いや、何でもない。

お姫様をちゃんとお守りしろ、だとよ。」

ユウリは口角を上げながらレシーバーを前のシートに転がした。