「ユウリはいいから・・・。」


「はぃはぃ。」

ユウリはカチッと煙草に火を付けると、両足を前の座席の上にどさっと投げ出す


「リディアさん、あの向こうに見える・・・、ほら、あの木が鬱蒼と茂ってる所、見える?」


「ええ、黒っぽく盛り上がって見えるところね。」


「うん。あれが多分この地図にある、カルマの森だと思うんだ。

日が暮れる前に、なんとかあそこまで行きたいんだよね。

だから、悪いけどもうちょっと我慢してね。

あの手前でテントを張るからさ・・・」


「テントって・・・?」


「あ、テントっていうのはね、地面に布を張って作る小さな部屋みたいなモノだよ。
こういう野外ではね、その中で寝袋にくるまって眠るんだ。

あ、でもリディアさんはこの車の中で寝るんだよ。ちゃんと鍵かけて・・・。」


「あ、ほんじゃ俺もこの中で・・・」