「国王陛下!! 国王陛下―!!」

オウガの低い声が王宮の廊下に響き渡る。


「どうした?オウガ、騒がしいぞ。」

フェルナンドは血の気の失せた顔で官房室へと入って行く。


「実は・・・王室に仕える者の中で、職を辞めたいと申し出る者が何名か現れまして・・・。」

オウガは声を落として言う。


「なるほど。

民に背を向けられた王室には関わりたくない・・・と?

構わん。好きにさせろ。

そのような者は、こちらから願い下げだ。軍の士気が下がる。」


「か・・・畏まりました。」

オウガは何か言いかけて、その口を閉じる。


「ところでオウガ、例の作戦は順調に進んでいるか?」


「万事、うまくいっております。

奴らの守備も、海側に集結しているものと思われます。」