「ぇ?!

フェルナンド、どうしたのです?」

アーリアは思わずソファーに駆け寄る。


フェルナンドは額に汗を掻き、浅い息を吐いている。


「フェルナンド、あなた・・・」


「大丈夫ですよ、義姉上。

少し休めば治りますから・・・。」

フェルナンドはそのまま目を閉じる。


アーリアはソファの脇に跪き、フェルナンドの横顔を見つめる。


(栗色の髪、太い眉、すっきりと通った鼻筋、四角く骨ばった顎・・・そして、少し上がり気味の唇・・・。

全てがあの人と同じ・・・。

でも、この人はアルフレッドではない・・・。)


アーリアは慈愛に満ちた眼差しで、その額にそっと手を当てる。

(もし・・・、

人が裏と表の両方の顔を持っているのなら、この人はもう一人のあなた・・・なの?

闇の中で、苦しんでもがいているこの人は、私の知らなかったあなた・・・ではないの・・・?)



その時、フェルナンドの左腕がだらりとソファから垂れる。


アーリアはその腕を戻そうと掴んで、思わず息を飲む。