「どうかした?」

「あ、いえ・・・。

アルフレッド国王様から申し使っているのですよ。

最近リディア様は一段と綺麗におなりなので、あまり外には行かせるな・・・と。」


ケインはそう言ってバックミラー越しに軽く片目を瞑って見せる。


「ケイン、怒るわよ!」

リディアはそう言い捨てると、シートにトンッと背を付け、また窓の外に目をやった。





車はリゲルの中心地へ差し掛かる。

途端に街は、乱立する高い建物に陽の光りを切とられ、その色を失う。

遠くには、今や王国の象徴と成りつつあるコンビナートの工場群が乱立する。

鉛色に輝くその煙突からは、黒雲のような煙が絶えることなく吐き出されていた。



(本当に変わってしまったわ・・・。この街は・・・)