「よろしいのですか? 国王陛下。

いくら王妃様とはいえ、あの者を逃がした罪は重大かと存じますが・・・。」



王宮の地下の官房室。

王室の重鎮オウガが珍しく顔色を変え、国王であるフェルナンドに向かって声を荒げる。


「よいのだ。」


「しかし、いくら精神に破綻を来たしているとはいえ、あの者の存在自体がこの王室の機密事項ではありませんか。

その者が世間の目に触れるとなれば、また王室の不信が増長されるに違いありません・・・。」


「よいと言っている。」


「しかも、あの男は我々に足を撃たれている・・・。

その理由が世間に知れなどしたら・・・」



――ガシャンッ!!


「黙れ! オウガ!!

それ以上言うとその口を利けなくしてやるぞ!!」

国王フェルナンドは、手に持ったグラスを床に叩きつける。



「・・・・。」