「ふふ…。あなたも困った人だ。

私が触れないと言ったのは、気高き王妃である義姉上の事ですよ。

重罪人をこっそり逃がしてしまうような小賢しい女とは違う。」

フェルナンドは、その手に力を入れる。


王妃アーリアは、キッとフェルナンドの目を見据えて言った。

「分かりました。 あなたの、好きになさればいいわ。」


フェルナンドはふっと笑ってその手を放すと、またがらりと表情を変え、鋭い目つきでアーリアの顎を掴んで持ち上げる。


「さすがは義姉上。聞き分けがよろしい・・・。

では、もう二度と私の邪魔をしないように、あなたには少し静かにしていただきましょう。

なに、手荒な真似はいたしません。

あなたは私の、大切な人だ・・・。」



フェルナンドはそう言うと、王妃を抱きかかえ、地下通路の奥へと入って行った。