――ガクッ

ユウリは左肩が急に重くなるのを感じてそちらに目を遣る。


「・・・ぁ。

こいつ、寝て・・・。」

ユウリは言いかけてふとリディアの顔を覗き込み、次の言葉を飲む。


月の光りに照らされたその白い頬に、長い睫毛の奥から溢れ出た透明な雫が一筋、つたって落ちる。

膝に乗せられた左腕には、小さなバングルが、まだ僅かな光りを放っている。


(クソッ!!

何が・・・クロスだよ!

何が・・・宿命だよ!

こいつ・・・こんなに小っちゃい肩に、一体どんだけ荷物を背負ってやがる・・・。

こいつだって、ただの・・女の子じゃねェのかよ・・・!!)


ユウリは、リディアの腕をそっと外し、その肩に自分のジャケットを被せる。



「一緒に行ってやるから。

どこへだって・・・行ってやるさ。」


ユウリは小さく呟くと、その小さな肩をそっと抱きしめた。