数日後、リディアを乗せた白い車が王宮から伸びる長い石畳の坂道を下っていた。

王宮の裏門に続くその道の両脇には青々とした木々が鬱蒼と生い茂る。

朝露に濡れたその葉は、陽の光りにキラキラと輝く。


「ああ、早くあの子たちに会いたいわ! 」


リディアは満面の笑みを浮かべ、車の窓から身を乗り出さんばかりにしている。


「リディア様、あまりはしゃぎすぎないでください。危険ですよ。」


運転席の男がバックミラー越しに声を掛ける。

まだ幼さの残るその男の横顔には、心なしか緊張感が漂う。


「だって、半年ぶりなのよ。、施設に行くのは。
きっと、みんな待ちわびているわ!!」


「ですが、いつも言っているではありませんか。
施設に行くのはあくまでお忍びなのです。
くれぐれも目立った行動は控えてください・・・と。」