「リディアさん、疲れただろう。

そこの突き当たりの部屋で休んでおいで。

夕飯の時に出てくればいいからさ。」

カラスの母は、そう言って広い廊下の奥を指す。


「あ、はい。

でも私、お世話になるばっかりで・・・なんだか申し訳くて・・・

あの・・・何か私に出来る事、ありませんか?」


「何言ってんだい。病み上がりじゃないか。

気にせずゆっくりしておいで。

だいたい、そのか細い手に仕事なんかさせられないよ。」

カラスの母は、陽気な声でカラカラと笑う。


「あ・・・そうか・・・そう、ですよね・・・。

私には、機(ハタ)織りくらいしか取り柄が・・・」


「リディアさん、機織りが出来るのかい?!」

途端にカラスの母親の顔が輝く。


リディアは確かめるように両手を見て

「ええ。

機織りだけは得意・・・だと思います。

この手に、記憶がありますから・・・」


そう言ってカラスの母親を見上げた。。