リディアの胸の奥がざわめく。

(正しい事・・・

正しくない事・・・

必要な事・・・

必要でない事・・・

私は・・・

今まで 何を教わってきたの・・・?

今まで 何を見てきたの・・・?

大切なモノが・・・

失われて・・・

失われて・・・)


リディアは俯いて両手をぎゅっと握り締める。

その顔は徐々に険しくなっていく・・・。

ユウリはリディアの顔を見るなり、慌ててカラスの頭をベチンと叩き、話題を変える。


「ほら、リディア、もうすぐカラスの家が見えてくるぞ!」


車は、海岸通から緩い上り坂に入る。

通りの両側には、漆喰の塗られた白い小さな家が立ち並ぶ。