――パッパーッ!!

「あ、カラスくんが来たようですね。」

背の高い白衣の青年が、骨ばった手で小さなボストンバックを持ち上げる。

「はい。ユウリくん。」


「ぇ、ぁ、俺?」

戸口に寄りかかって手持ち無沙汰にしていたブロンドの髪の青年が振り向く。


「そうですよ。

何の為にそこにいるんですか?

リディアさんの荷物、ちゃんと持ってくださいね。」


「あ、あぁ・・・。

何か、こういうシチュエーション、前にもあったような・・・」


白衣の青年の後ろにいる色白の小柄な少女は小さく小首を傾げると、碧の瞳で青年を見つめ、口元だけでにっこりと微笑んだ。


「お前・・・リディア、いい加減思い出せよ!!」


「ユウリくん、だから言っているでしょう。

無理をすると、リカバーが遅くなるかもしれないって!」