「ただ、これだけは言っておきましょう。

彼女がナユタだと分かった以上、彼女はもう王室の人間ではありません。

まして、今は国外へ亡命した身。

その身を護るいわれはありません。

あなたも、どうかそのおつもりでいらしてください。」


アーリアの顔色は一瞬にして青ざめる。

「そんな・・・そんな事・・・!

フェルナンド、あの子は私の子供なのですよ。

16年間、私とアルフレッドが育ててきた大切な娘なのです!!」


フェルナンドは冷徹な眼差しをアーリアに向ける。


「義姉上。

リディアは、危険です。

王室にとっても、このラドニアにとっても・・・。

彼女は、もはやあなたの娘としての存在を超えてしまっているかもしれない。

もし彼女が・・・クロス・・・だとしたら。」



フェルナンドは、そう言うなり軽く頭を下げるとマントを翻して部屋の奥へと姿を消した。