「もちろん、分かっております。義姉上。

同じ容姿を持ちながら、あなたが兄上を選ばれたその時から、これは決して口に出さないと心に誓っておりました。

けれど、これだけは言わせてください。

私が今まで兄上の影となって支え続けてきたのは、王室の為・・・そしてあなたの為でもあったのです。」


「フェルナンド・・・」

アーリアは悲痛な面持ちでフェルナンドを見つめる。

今は亡き夫であるアルフレッドと同じ髪の色、同じ声、そして同じ瞳・・・。

けれど、目の前にいるこの男の瞳の中には、夫の中には決して見ることの無かった赤黒い野望の炎が見える。

この人は、一体いつからこうなってしまったのだろう・・・。

ラドニアの経済を動かすことが、これ程にまでに人の心を変えてしまうものなのか・・・。


「それがあなたの本心ならば、あなたはやはり間違っています。

人も、国も、誰かによって強引に変えられるものではありません。

そこに己の意志が存在してからこそ、その先の未来に臨めるのです。」


フェルナンドは微かに笑って答える。