「あ、起こしてしまいましたか?

ごめんなさい。

具合は、いかがですか?」

ベージュのカーテンの端が少し開き、そこから白衣を着た背の高い色白の青年が顔を出した。


「ぁ・・・・ぁ・・・・」

リディアは咄嗟に毛布を掴んで上半身を起こすと、ベッド脇の壁に身を縮めて後ずさった。


青年は碧色の瞳を細くして笑いかける。

「怖がらないでください。

大丈夫ですよ。私は、薬師ですから・・・。」


「く、クスシ・・・?」

リディアは震えながら蚊の鳴くような小声で問いかける。


「ああ、薬師というのは医者みたいなものです。」


「お医者さま・・・?」


「ええ。そうですよ。

あなたは、夕べここへ運ばれて来たんです。

外傷は無いようですが、どこか具合の悪い所はありませんか?」