「セシリアの精霊を…?! バカな!

奴らラドニアのジプサムを食い散らかして、それでもまだ飽き足りねェってか?!

冗談じゃねェ

そんな真似させねェ!」


――ゴトッ


ジャコスはユウリの目の前に黒い拳銃を置くと、ドスの効いた声で言った。

「イキがってるだけじゃ奴らには敵わねェ。

強くならなきゃ殺られちまうんだよ! ユウリ。」


ユウリは立ち上がりざま拳銃をガッと掴むと、ジャコスの胸倉に押し当てる。


「俺には、こんなモノ必要ねェ!」


ジャコスはユウリを真っ直ぐに見据えて言う。


「いいかユウリ。手前の為じゃねェんだ。

国を守る為だ。もう戦いは始まってるんだぞ。」


「戦い・・・」

ユウリは自分の服にこびり付いたリディアの血痕に目を落とす。