湾の端には、また王室の黒い車が近付いている。

「おい、急ぐぞ!」


ユウリはリディアの腕を掴む。

「うぅ!!」


「お前・・・」

その腕は肩から流れ出た血でべっとりと濡れ、ガタガタと震えていた。


「ったく、しょうがねェな!!」

ユウリはリディアを抱きかかえると、足早に船に乗り込んだ。