Ⅹ(クロス)

「リディア様は・・・王室に追われている・・・

私は、もうこの方をお守り出来ない・・・

だから・・・頼む。お願いだ・・・。」


「ケイン・・・行かないで!!

私達、ずっと一緒だったじゃない!

ずっと、私を守るって言っていたじゃない!」


「リディア様・・・申し訳・・・ありません。

あなたを・・・一生お守りするつもりだったの・・・です・・・が」


――グハッ


鮮血がケインの口から溢れ出る。



「ケイン!! ケイン!!」


「おい! しっかりしろ!!」


「リディア様、どうか・・・ご無事で・・・。

ラドニアに・・・栄光あれ・・・」


ケインは僅かに微笑んでそう言うと、静かにその目を閉じた。



「ケイン!!

いやぁ――――!!」



リディアの叫びは、打ち付ける激しい雨とともに、ラドニアの大地に消えていった。