ユウリは、手に持ったグラスをガシャンとカウンターに叩きつけると、足元のザックを引っ掴んでドアの外へ出た。


リゲルの港は、大陸に近付くハリケーンの影響で突風が吹き、断続的な雨も降り出していた。

空は見る間に厚い雲で覆われていく。

海は、所々に白い波の亀裂を見せながら激しく揺れていた。


「畜生!!」

ユウリはもう一度穿き捨てるように呟いて、船を停泊させている湾へと足を速めた。