白い・・・。

何もかも・・・。

その日、ラドニアの空は真っ白い雲に覆われていた。

いつもなら眩しい陽の光りに輝いている王宮が、今はただ白い光りの中に静止しているように思える。

広い庭の向こうには、顕花をする人の行列がすでに出来ている。




(これは・・・現実なの?)




リディアは、昨日からの色々な出来事がまだ受け止められないでいた。


変わり果てたジプサム、自分の過去、そして父の死・・・。


若干16歳の少女が受け止めるには、それらは余りにも大きく、過酷だった。


そして、先ほど告げられた国王暗殺の隠蔽。

父親の死を悼むことをも禁じられ、父の為に泣くことさえ許されない。

その事実は、リディアの心の中に抑えることの出来ない感情を湧き上がらせる。