「お母様・・・近頃ジプサムの力が弱くなってきている気がします。

ジプサムはラドニアの原動力・・・。 

その力が尽きてしまってたら、ラドニアはどうなってしまうのでしょう。」


リディアは、母の隣にそっと腰を下ろすと、その透き通る碧色の瞳を真っ直ぐに母親に向けた。


「やはり・・・それを感じていたのね・・・。

この国の経済や産業のことは、全てフェルナンド公に任せてあるわ。 

でも、この街の変わり様を見ていると、あなたが不安になるのも無理はないわね・・・。」


「ええ。 それに、このところ声が弱くなっているのです。 

大地から聞こえる声が・・・。」


「リディア、その事は・・・」


「わかっています。お母様。 

でも、ジプサムは大地の力無しでは、そのエネルギーを保つことは出来ません。 

だとしたら、大地の力が薄れている今、ラドニアはとても深刻な事態に陥っているのではないでしょうか・・・。」


「・・・そうね、リディア。 その事はお父様にもお知らせしなくてはならないわね。

ただ、いずれにせよ女の私達にはどうすることも出来ない事・・・。 

あなたは、きちんと今のあなたの務めを果たすことも大切よ。」