カチッ カシャッ


カチッ カシャッ


カチッ カシャッ







「おい! カラス、
その カチカチやるの止めてくれねーか!
気が散ってしょーがねぇ。」


カウンターのいちばん奥の壁に寄りかかり 足を隣りの椅子に投げ出している、髭面の男は、低い嗄れた声を投げた。

黒いツンツン頭の少年は、黒ずんだカウンターテーブルを燻し銀のライターでコツコツとせわしなく叩き、男ではなく入り口の方を見る。

ガタガタと鳴るドアは、もう長いこと閉まったきりだ。

少年は口元を歪め、「チッ!」と舌打ちをした。


「脅しのネタ探してるようなおっさんには分からねーよ! 
俺がどんだけこの日を待ってたのかさ。」