「じゃあさ、北田さんじゃお姉ちゃんぽくないから、名前で呼んでもいい?」

「え? 名前?
まっ、確かに名字じゃ、姉弟ぽくないか。うん。じゃ!いいよ」

「ラッキー。じゃ!"さえちゃん"て呼ぶね。オレの事も何か呼んで?」

甘えるように見上げられちゃあなぁ。

「う~ん。決まった!! "熊ちゃん"にするよ。よろしく!熊ちゃん」

「おう」

何だかここ数日で、お兄ちゃんと、クラスメイトと弟がいっぺんに増えた気分だよ。

私は幸せそうな顔してたと思う。

うん。実際、みんなと知り合いになれた事は、居心地よくて、楽しくて、嬉しかったんだ。

でも、そんなのん気な事を考えていたのは私だけだったんだね。