香川くんまだかな?
もう出てくるかな?
出て来たら何て言おう。
ドキドキ ドキドキ
ドキドキ ドキドキ…
あ~、ドキドキする!!
でも、釜石さんだって、熊ちゃんだって、私の背中を押してくれたんだ。
私だって頑張れるよね。
「北田さん? どうしたの?」
「か、香川くん。
あのね、私ね、香川くんに聞いてもらいたい事があって待ってたんだけど、少し時間いい?」
「えっ? 少しならいいけど。じゃ、あそこに入る?」
指差した先は、前に熊ちゃんと行ったファーストフード店だった。
「うん。ありがとう」
香川くんが時間を作ってくれた事はうれしいのに。
いつもより冷たい態度に、何か余計に不安になってきた。
迷惑だったかな?
今日はバレンタインデーだもんね。彼女と待ち合わせとかあったのかな。
どんどん、私の気持ちは落ちて行ったんだ。

