「みなさん、3週間お疲れ様でした。そして学生アルバイトのみなさんもご苦労様でしたね。ここで働いた経験は、きっと何かに役立つと思います。これからも頑張って下さい」
最後の釜石さんの言葉で、バレンタイン特設売り場は解散となった。
釜石さんは変態だけど、ちゃんと仕事は教えて貰ったし、最後に挨拶をしたい。
「釜石さん」
「さえちゃん?」
「3週間お世話になりました。包装もレジも出来ない私に色々教えて頂いてありがとうございました」
私はペコッと頭を下げた。
釜石さんは、
「よく頑張ったね」と笑いながら、私の首筋に手を置いた。
"ビクッ"
「本当にさえちゃんはかわいいなぁ。オレ離したくないんだけと」
慌てて顔を上げた私の目には、やっぱり変態ちっくな表情をした釜石さんがいた。
「ふふふ。本気だけど、冗談にしとく。キミがいてくれて、3週間楽しかったよ。香川に邪魔されて、なかなか2人きりになれなかったけどね」
釜石さん、香川くんが私を庇ってくれていたのを気付いていたんだ。
そんな言葉に私は苦笑いする事しか出来ない。
「最後に。これて諦めるよ」
"ちゅ"
釜石さんは、素早い速さで、私の頬にキスをした。
「か、ま、い、しさん!!」
もう、怒りやら、恥ずかしさやら、色んな感情がグルグルだ。
「早く行きな。オレ、マジで手を出しちゃうから」
やっぱり変態ちっくだった釜石さんに最後の挨拶をして、私はロッカールームに急いだ。

