「じゃ。オレは時間だから先に戻るね。チョコありがとう」
熊ちゃんがヒラヒラと手を振りながらフロアに戻って行ったら。
代わりに、
「お疲れ。オレお腹空いちゃったよ」
"カツカレー"を持った香川くんが私の隣に現れた。
「お疲れさま。昨日と今日はマジに忙しいよね」
「意外とみんなギリギリに買うのな」
"知らなかったよ"と普段貰う立場な香川くんは、
「裏側を知った」なんて言いながら笑ってた。
ズキン。
香川くんは女の子からいっぱいチョコ貰うのかな?
それとも彼女がいるのかな?
そう思ったら、急に心の中が寒くなった気がした。
あぁ。そっか。
私…。
何で最後の日に気付くんだろう。
私ってバカだよね。
「どうかした?」
急に深刻な表情をし出しただろう私を香川くんは心配そうに見つめて来た。
うっ…。恥ずかしい。
意識した途端、これじゃ変人だよね?
「顔赤いよ? 風邪っぽい?」
「ううん。違くて…」
"香川くんを意識しました"
…なんて恥ずかしくて言えないよ。
「そ?ならいいけど、無理はしないでね」
やっぱり香川くんはいい人だ。
そして私は好きなんだ。
香川くんの事を。

