「何で光って、コップに捕まえたり出来ないの?
 ほら、原子だか光子だかなんか、そんなもんだよね?」
「は?」
「うんと…粒っぽいって言うか」
「ああ、ザルなんだよ」

アキヒロは軽く肩をすくめて、肩越しにあたしをちらりと見る。
思いがけない回答。

「…何が?」
「コップが」
「どこが?」

どこに穴が開いているというんだろう。
指の腹でなぞっても、少しのざらつきも感じない。
こんなに滑らかなガラスのどこが、あの隙間だらけのザルだって言うんだろう。

「お前が思ってるより、光ってのはずっと細かいの。
 ガラスの隙間は、それよりずっと大きい」