光は、細かい粒が元になって見えるのだ、と誰かから聞きかじった。
それならば、隙間のないガラスのコップを上から被せてしまえば、光が閉じ込められてどんなに綺麗だろう。
どんなふうに反射するのだろう。
どんな色に輝くのだろう。
それは、想像するだけで美しい光景。

もちろん、何度試してみたって、出来るわけがない。
それが納得できず、会う人毎に聞いて歩いたけれど、さっぱりわからなかったっけ。

今、このコップに捕まっているかのように見える光も、本当は反射しているだけだ。
一瞬もここで止まったりしない。

「アキヒロ」
「うん?」

振り向くと、アキヒロはテレビから目も離さずに返事をしていた。
あたしより、そっちの再放送のありがちな刑事ドラマの方が大切、なんだよね。
そんなの、わかってる。