アキヒロの名前は聞き飽きた、と言いたそうに、シュンは軽く受け流す。

そんなシュンの態度も気にならなかった。
今までなら、あたしの話を聞き流すなんて許せなかった。
それだけで、きっと不貞腐れていたはず。

だけど、今はそんなことはどうでも良い。

「舞い上がってんね」
「そうかな?」

聞き返すけど、あたしには自覚がある。

そう、舞い上がってる。

これが、恋なんだろう。
たかだかこんなことで舞い上がるなんて。
とうにオトナになっているのに。