古本屋では、ちょっと昔のベストセラーをめくってみる。
色恋を派手に書きたてたそれは、そんなに面白くないけど。
でも、その大袈裟さが面白くて、通って少しずつ読んでる。

そんな風に、ちょっとだけ余分な時間を過ごす。

あたしにとっての、「幸福」な時間。

そのふんわりとした暖かさは、この後に彼と過ごす時間を思って、あたしを少しだけ浮かれさせる。
そのあまり、必要のないターナーやガラスクリーナーを衝動買いしてしまう。
そして、それを彼の部屋に勝手に隠し、それを見つけた時の呆れた彼の反応を見るのも楽しい。

今日もゲームショップを覗いてから、電気店で家電を品定めをするふりをし、スーパーでタバスコを一瓶購入して商店街を抜けた。

この時間になれば、あの人もいるはず。

ごちゃごちゃと民家が立ち並ぶ中の、ちょっと古い3階建てのアパート。
真ん中の階段を上って最上階の一室。
通い慣れたその部屋のドアチャイムを鳴らす。
ピンポン、と懐かしい音がする。