「おねえ、もう行くよ?」

柚莉があたしのボストンバッグを担いで、ドアの外から呼んでいる。

「うん」


あたしは、くるりときびすを返す。
ここには何にもないんだから。


感慨なんか何もない。


「シュン待ってるよ!」
「はいはい」