がらん、とした部屋を振り返る。 全部運び出したそこは、思いの外広い。 大した思い出のない、あたしの部屋。 けっこう長く過ごしたのにね。 この、鳥籠で。 自分で歩み出て、庭園も歩いた。 青い空も仰いだ。 でも、そこへ届く羽はなかった。