そこに表示されていたのは、ただのアパートのドア。
その部屋番号にも、古ぼけて錆びた縁にも、見覚えがありすぎる。
だからこそ、見えてしまったそれが直視できない。

ドアポストの口に貼られた張り紙。
不要なチラシが入らないように、と貼られるものだ。


『空室です』


それだけの文字を、何度も読み返す。