「メール、してよ」
「お前がすれば?」
「やだ。シュン、メール入れて」

シュンが半笑いで携帯を取り出す。
ぱかっと開けたその時、会議室の扉が開いた。
そちらをぱっと振り向くと、そこには、猫背で、前髪が長くて…。
ああ、アキヒロだ。
来てくれた。
ちゃんと、ここに来てくれた。

「遅いよ、アキ!」

ハルカが手招きをする。
アキヒロは何も言わずに、ハルカの近くのパイプ椅子に腰掛ける。

「で、昨日のメール全部読んだでしょ?」
「ああ」
「アキは? 返事ちょうだいよ」

ハルカは勿論、他の誰も疑っていない。
Noの言葉なんて。