「まあ、いっかぁ」


私は魂でも抜けたかのように、草原に体を投げ出した。



目の前には、雲一つない青空が広がっている。

……春らしくなってきたな。



そんなことを思いながら、私は目を閉じた。







……河のせせらぎ、鳥の鳴き声。


遠くから聞こえる子供の笑い声と、車のエンジン音。




普段、いつも聞いているはずの音なのに、改めて聞くとこの世界は音に溢れていて。


全てが楽しそうに聞こえて……。





「ん〜〜〜」


私は草の上に、体をこれ以上ないほどのばす。



ネオはこんなにも素晴らしい音があるのに、なぜ音楽を聴き続けているんだろう。


もったいないな。

教えてあげたい、音のよさを。




「楠田…、袮緒かぁ」


私の独り言は空に溶けていったみたい。


あの空の向こうには、なにがあるんだろう。

宇宙しかないのかな。



空の向こう、行ってみたいな。






……これが、この後すぐに叶ってしまうなんて。

誰が想像しただろう。



私は、まだ若いのに……。