遊具に飽きてベンチに座った。
沈黙を破ったのは健吾。
「春樹にはしばらく会うな」
健吾は真面目な顔で言う。
「…どうしてよ」
現実に引き戻される。
「会うとキツくねぇか」
馬鹿正直だよな、健吾は。
「…余計なお世話だよ」
「心配してやってんだろ」
「…いいよね健吾は」
「なにが?」
少しイラついた声になった。
「だって…春樹に彼女が出来ても遊べんじゃん…」
私は、友達としてでも
傍にいたかった。
特別じゃなくていい
彼女じゃなくていい
女の子に見られなくなって…
違う。
ずっとそう思ってきたんだ。
だけどやっぱり…
本当は私だって…
「あたし、うらやましいんだ。」
健吾は静かに聞いてくれた。
「春樹が誤解されたく無いって…
あの子の…こと
本当に‥好きなんだって思った」
気づけば涙が出ていた。
「…あたしも…っ春樹に
そう思われたかった
そう想われたかったよ…。」
私だって
春樹を想ってるんだよ。
もう届かないのかな。
届けることもできないのかな。
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