――――優哉――――


俺はずっと楽しそうに笑ってるやつらを見るのが怖かった


前に俺が笑っていた日々を思い出しそうで

怖かった



俺が9歳の頃だった


「おいチビども!今日は待ちに待った旅行だ!準備は昨日のうちに済ませただろうな!」

いつもの調子で父は言った

「やっとだよな!やっぱ楽しみがあると、進む時間は遅いなぁ」

兄は中学3年で受験をひかえていた

でもやっぱり勉強ばかりじゃ身に入らないということで旅行にいくことになったのだ

「潤也、もうそろそろ受験だけど、これを機に息抜きしてまた勉強に取りかからなきゃダメよ??」


母はいつも誰にだって優しい

でもちゃんと怒るときは怒る



俺はそういう母を心から尊敬していた