次の日の朝。
声はまだ直っていなかった。
私は無言のまま家を出た。

「璃緒~!おはよう!」

"おはよ!"
愛璃の声に明るく返そうとするが。

「璃...緒?」

きょとんとする愛璃。
私はかばんの中からノートとシャーペンを取り出した。
それにスラスラとペンを滑らせる。

"私ね、昨日から声が出ないの。"

「....え?」

私はどうにかジェスチャーで伝える。

「どうして?...ってか喉にあざできてるじゃん!」

愛璃は私の喉に顔を近づける。

バッ!!

「璃緒...?」

思わず隠してしまう私。

「隠さないで...ちゃんと見せてよ。」

一瞬にして空気が変わる。
校門前は登校児で溢れているにもかかわらず...。

「おはよー!!」

テンションの高い奈美はいつもこんな感じで入ってくる。

「おはよ...。」
「...。」