……長い、永い、
そんな眠りについているようだった。

眠っている間のことはよく覚えてはいないが、
とにかくとても安らかで、なんだか苦しかった……。
そんな矛盾した感覚を覚えている。

気がついた時真っ先に見たものは、無機質な白い天井だった。
加えて、薬品か何かが混入したような、それでいて安心するような香りが鼻を擽る。

とりあえず体を動かそうと試行錯誤してみても、腕はおろか指の一本も動きやしない。脳がどれだけ行動を促そうとも、肉体はそれに反し凍り付いたように止まっていた。
感じるのは、一定の間隔で刻まれる、自らのわずかな鼓動のみ。

微かに伝わる心音だけが
「自分は生きている」という確証を持たせてくれる証拠にもなりつつあった。