何とか遅刻せず会社に着くことが出来て、はぁぁと力が抜けた。




今朝の・・・あの子は何だったんだ・・・




ふと頭をよぎるのは、彼女。
通りすぎた時にふんわりと何か甘い匂いがしたのが気になった。




「おう、ギリギリだな。柏木!」




パコンと頭を丸めた紙束で叩かれる。




隣に座る今年入社の女子社員の清水さんがガタッと椅子を鳴らした。




「浜岡!・・・何だよ。」




依然パコパコと頭を叩く手を払いながら言った。




この朝から調子の良さそうな男は浜岡 愁(はまおか しゅう)。部署は違うが同期で一番仲の良い奴だ。