それ以来、私の世界は曇ってしまった。


逃げるようにしてバイト先の喫茶店を辞め、


私は心配する麻由子からのメールには返信せず、

泣きながら爽太のアドレスを消した。




わかってる。


わかってるよ。


誰も悪くないって。


ただ自分の心の中に
爽太への想いをしまい込んでたのは私だった。


麻由子に対して
知らずに劣等感を抱いていたのは私だった。



でも


でも、



それを認めちゃったら



私は何にこの気持ちを向かわせればいいの?



この痛みを




この現実を



どう受け止めればいい?



麻由子の
素直なところも
黒目がちな瞳も
細長い手足も

すべてが嫌になってしまった。


あれだけ好きだった
爽太の笑顔さえ

もう見たくなかった。



そんな自分をもっと嫌いになった。






それなのに


時間が、私の身体だけを春へ連れていき

社会人というステージに無理矢理載せてしまった。